MOTT THE HOOPLE『GREATEST HITS』(1976年)アルバム・レビュー(邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)」)
こんな方におススメ
- バイオレンスの煽動者と呼ばれたバンドに興味がある方
- UKパンクロッカーの憧れだったバンドに興味がある方
- ドラマティックなバンド物語に酔いしれたい方
- 華麗で情熱的なロックンロールを体感したい方
- ロックバンドの楽曲で泣いてみたい方
視聴コーナー
アルバム『GREATEST HITS 邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)』について
このアルバム『GREATEST HITS 邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)』は主に1972年~1974年頃の曲で構成されたベストアルバムである。
日本国内版タイトル「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)」・・・。そう、これはバンド後期の頂点から解散までの物語…。
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)について
誕生秘話としては、元々Doc Thomas Group(ドック・トーマス・グループ)、Silence(サイレンス)というバンドが前身となるが、Guy Stevens(ガイ・スティーヴンス)というプロデューサーはボーカルに不満があり、オーディションにてIan Hunter(イアン・ハンター)を新ボーカリストに迎える。
そして、MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)というバンド名に改名。名付け親はGuy Stevens(ガイ・スティーヴンス)。
ちなみにサイレンスというバンドのボーカルはその後、ロードマネージャーとしてMOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)とともに活動している。。。ちょっと切ないが・・・致し方無い。
そして、MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)は、
1969年に、1stアルバム『Mott The Hoople』にてデビューを果たす。
1970年 2ndアルバム『Mad Shadows』発売
1971年 3rdアルバム『Wildlife』発売
1971年 4thアルバム『Brain Capers』発売。
このアルバムは俳優 James Dean(ジェームズ ディーン)に捧げられたアルバムです。
楽曲的には、以前よりも少しハードなギターサウンドになってきています。
しかし、デビュー後、ライブでは好評なのにアルバムの商業的には振るわず、4thアルバム「Brain Capers」に至っては、英国、米国ともにチャート圏外となる。この実績はMOTT THE HOOPLE 史上で初めての結果となった。
そのこともあってか・・・ 1972年春、解散を決意・・・・・。
しかし、ここに救世主現る!
David Bowie(デヴィッド・ボウイ)がその救世主である。
MOTT THE HOOPLE のメンバー Overend Watts(オヴァレンド・ワッツ)から解散の話を聞く。。。
もともと、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)はMOTT THE HOOPLEのファンだったらしく、「解散させてはいけないバンド」だと。。。
そして、MOTT THE HOOPLE のメンバーを説得することになる。
更に・・・David Bowie(デヴィッド・ボウイ)から、楽曲提供、プロデュースの話を申し出た!!!
その際に提供しようとした曲が・・・「Suffragette City」。しかし、MOTT THE HOOPLE は・・これを拒否したため、別の曲「All the Young Dudes(すべての若き野郎ども)」を再提案する。
「All the Young Dudes(すべての若き野郎ども)」はMOTT THE HOOPLE側も、大変気に入ったこともあり、、、、。解散撤回!!
MOTT THE HOOPLE はCBSに移籍し、「All the Young Dudes(すべての若き野郎ども)」のシングル発売、アルバム「All The Young Dudes」を発売することに至る。
1972年 5thアルバム『All The Young Dudes』発売。
このアルバムのプロデュースはもちろん David Bowie(デヴィッド・ボウイ)。
当時、 David Bowie(デヴィッド・ボウイ)は1969年発売のシングル「Space Oddity」のヒットにより、既に人気アーティストとして活躍していたこともあり、影響力は十分だったといえる。
サウンドは前作「Brain Capers」で魅せた、少しハードなギターサウンドを継承しながら、ストリングスアレンジも活かし、音の奥行や拡がりを魅せるミックスがされているように感じます。
この解散撤回劇のその後、グラムロックと呼ばれるロック細区分ジャンルに、MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)も名を連ねることになるのだが・・・・。
運命は、ここから少しずつ良い方向と悪い方向に進んでいくことになる。
1973年 6thアルバム『Mott』
1974年 7thアルバム『The Hoople』
とアルバムを発売し、ヒット曲もあり・・・起死回生の大逆転劇による人気アーティストの仲間入りを果たすが・・・。メンバー間には亀裂が生じだす・・・。
メンバー脱退・・・メンバーチェンジ・・・・を繰り返し・・・
Morgan Fisher(モーガン・フィッシャー)も後から正式メンバーになった一人。
最終的にはギターには、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)の盟友だったMick Ronson(ミック・ロンソン)がギターで加入することになった。
Ian Hunter(イアン・ハンター)が、1974年、アメリカでのプロモーション中に体調を崩し入院する事態となる。
そして・・・。
Ian Hunter(イアン・ハンター)とMick Ronson(ミック・ロンソン)も脱退。
(二人は脱退後、 Ian Hunter(イアン・ハンター)のソロ名義のアルバムを作成することになる)
1974年12月・・・正式に MOTT THE HOOPLE は 解散する。
最後に残されたプレゼントは・・・
シングル「SATURDAY GIGS(モット・ザ・フープル物語)」である。
1969年から1974年の6年間に渡る MOTT THE HOOPLE の想い出を綴った名曲。
今回、紹介する『GREATEST HITS』(邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)」)のラストを飾る曲。
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)のメンバー
Vo:Ian Hunter(イアン・ハンター)1969-1974
G:Mick Ralphs (ミック・ラルフス )1969-1973
G:Mick Ronson(ミック・ロンソン)1974
Ba:Overend Watts(オヴァレンド・ワッツ)1969-1978
Org:Verden Allen(ヴァーデン・アレン)1969-1973
Org:Morgan Fisher(モーガン・フィッシャー)※1973サポート、1974-1978正式メンバー
Ds:Buffin(バフィン) = Dale ”Buffin” Griffin(デイル・グリフィン)1969-1978
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)の音楽性
初期の頃(1st~3rd位まで)は、ローリングストーンズみたいな感じです。
4thアルバム位で・・少し音質的にも変化が現れます。
少しギターサウンドがハードに・・・。そして、楽曲もほんの少しだけポップに。。。
これまで、ライブでは好評なのにセールスが乏しいため、商業的には・・・。
その後、前記した通り、David Bowie(デヴィッド・ボウイ)との出会いで、音楽的な拡がりというか、サウンドメイキングというか・・・。
何かツボを得たように・・・自分達の作品もヒットするようになっていく。
1972年~1974年の3年間はグラム・ロックと呼ばれる区分で紹介されることが多い。
この時期の楽曲は、とても元気な要素と悲哀な要素が交じり合った雰囲気を醸し出しているので、別にグラム・ロックと呼んでも良いかもしれないね。
ルックスも、少しグラマラスな要素を持ったバンドであったことは間違いない。
TOMOZY のアルバム評価
収録曲へのコメント(所有しているアルバムの曲順)
01. ALL THE WAY FROM MEMPHIS(メンフィスからの道)
1曲目から最高のロックンロールを聴かせてくれます!
ピアノが雰囲気を盛り上げてくれます。フェードアウトして終わるが、もっと聴きたいと思うのは私だけ?
02. HONALOOCHIE BOOGIE
2曲目にして綺麗なメロディが切なく聴こえます。それは、少し悲し気に聴こえる時があるIan Hunter(イアン・ハンター)の声が・・・そうさせるのか!?
もちろん、イイ曲です!
03. HYMN FOR THE DUDES(野郎どもの讃歌)
イントロから切ない雰囲気が・・・。とても綺麗な楽曲です。
ボーカルが入る部分からアコースティックギターの音色と、後ろで小さく聴こえるオルガン?、女性コーラスが雰囲気を更に切なくさせてくれます! またIan Hunter(イアン・ハンター)の声は・・・寂しく聴こえます! 深夜に聴きたい名曲。
04. BORN LATE 58(あの娘はイカしたキャディラック)
この曲は少しワイルドなIan Hunter(イアン・ハンター)の声を堪能できます。
ノリのよいロックンロールナンバー。ギターソロもピアノのソロも暴れます!
05. ALL THE YOUNG DUDES(すべての若き野郎ども)
David Bowie(デヴィッド・ボウイ)提供の楽曲で、MOTT THE HOOPLE を有名にした曲。切ないギターフレーズに湿っぽいメロディにオルガンがその雰囲気を一層引き立てます。そしてサビでのコーラスワークが更に切なさを醸し出す。。。語り掛けるように歌うIan Hunter(イアン・ハンター)も最高にカッコいい!
06. ROLL WAY THE STONE(土曜日の誘惑)
この曲もメロディが綺麗。そして、Ian Hunter(イアン・ハンター)の声が少し悲しく聴こえる曲でもあります。そして、管楽器隊も加わりながら盛り上げていきます。
なぜか切なくも聴こえる、最高のラブソング、ここに誕生って感じかな。。
07. BALLAD OF MOTT(モット・ザ・フープルのバラッド)
素敵なスローナンバー。オルガンの音色がさらに雰囲気を盛り上げてくれます。
そしてスローなナンバーならでは、、、語り掛けるように歌うIan Hunter(イアン・ハンター)の魅力満載です!
08. GOLDEN AGE OF ROCK’N’ROLL(ロックンロール黄金時代)
イントロはこれから始まる、ゴージャスなロックンロールを予感させるドラマチックな構成です。そして・・・ピアノ、管楽器が曲を引っ張ります!みなさんノリノリに・・・もっと自由に身体を動かしましょう!
09. FOXY FOXY
奥行きのあるサウンドが魅力だが、、、結構単調に聴こえるかもしれないが、、バックコーラスは結構ゴージャス。メロディも結構カッコイイよね。まぁ~ひと時の安らぎを感じながら・・・・ラストの曲を待ちましょう。。。
10. SATURDAY GIGS(モット・ザ・フープル 物語)
ラストです。。。
MOTT THE HOOPLEの6年間を綴った歌詞。泣けてきます。。。
メロディもコーラスもサウンドメイクも素晴らしい名曲です。
69年は・・70年は・・71年は・・72年は・・・73年は・・74年は・・・そして憶えてるかい?と問いかけられ、、、最後はライブに来てくれた観客に感謝の言葉が・・。
聴き終わった後、しばし頭の中が空っぽになり、茫然としてしまいます。
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)は永遠に不滅です。。。!?
ちなみに再発盤にはボーナストラックとして11曲目、12曲目があります。
再発盤には11曲目にルーリードの曲「SWEET JANE」、12曲目に 「ONE OF THE BOYS」が入っているようだ。(ともに1972年 5thアルバム「All The Young Dudes」に収録されている楽曲)
でも・・・この1976年発売の「GREATEST HITS」は、ラスト曲が「SATURDAY GIGS(モット・ザ・フープル物語)」であるから名盤なのに・・・・。と思うんだけどね。
映像で楽しむ MOTT THE HOOPLE『GREATEST HITS』(邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)」)
アルバム収録曲の映像(※一部Audioのみ含む)
All The Way From Memphis (Live) – Mott The Hoople
ピアノが盛り上げてくれるロックンロール!
All the Way from Memphis – Mott the Hoople | The Midnight Special
The Midnight Special出演時の映像
Honaloochie Boogie – Mott The Hoople
どこか悲しい感じにも聞こえる好きなです
All The Young Dudes – Mott The Hoople
デヴィッド・ボウイ提供の楽曲! ホントは別な曲をMOTT THE HOOPLEに提供しようとしていたが、MOTT THE HOOPLE側がこの曲を気に入ったことでこの曲を提供することになったそうです。
Golden Age of Rock n Roll – Mott The Hoople
ロックンロール黄金時代!
Saturday Gigs – Mott The Hoople
デビューから解散まで! バンドの歴史を映し出す!
あとがき
2019 年ロックの殿堂入り式典
2019年に行われたロックの殿堂入り受賞セレモニーの最後に2016年に亡くなったデヴィッド・ボウイのトリビュートとしてデヴィッド・ボウイがMOTT THE HOOPLEに提供した「All the Young Dudes(邦題:すべての若き野郎ども)」が演奏されました。
その際、MOTT THE HOOPLE のボーカリスト;IAN HUNTER が登場し豪華アーティストとともに会場を盛り上げていました!
Finale Performance – “All the Young Dudes” | 2019 Induction
MOTT THE HOOPLE の映画『すべての若き野郎ども/ モット・ザ・フープル』
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)のドキュメンタリー映画
2011年にイギリスにて制作、2012年5月に公開されました。
映画タイトルの原題は『The Ballad of Mott the Hoople』でしたねぇ。
このタイトルに近いアルバムタイトル『The Ballad of Mott』というCD2枚組のベスト盤もあったけな。
バンド”MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)”の活動におけるどん底と頂点を経験したバンドの歴史がわかる映画です。
オリジナルメンバーやQUEENのロジャー・テイラーやCLASHのミック・ジョーンズなどのインタビューも交えた構成ですが、映像で観る『GREATEST HITS 邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)』って思っちゃいました!
映画『すべての若き野郎ども/ モット・ザ・フープル』予告編
TOMOZY(トモジー)のアルバムに纏わる個人的な想い出
MOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)の楽曲を初めて聴いたのは、今回紹介した「GREATEST HITS」だった。最初にベスト盤でMOTT THE HOOPLE(モット・ザ・フープル)を紹介するのもどうかと思いましたが、このベスト盤は最高ですので。。。
きっかけは、ハノイ・ロックスのアルバムプロデュースにMOTT THE HOOPLEのメンバーが絡んでいたこととで MOTT THE HOOPLE の名は知っていた。
他には、中学生の頃、ハードロック/ヘヴィーメタル(HR/HM)と呼ばれるジャンルが好きになっていた時期でした。
QUIET RIOT(クワイエット・ライオット)なるアメリカのHR/HMバンドがSLADE(スレイド)の曲をカバーしていたのをきっかけにSLADEへの興味、更にはグラム・ロックと呼ばれるアーティストへの興味がふつふつと・・・。
もともと、グラムロックと区分されたアーティストも聴いたことがありました。T-REXとか・・・。David Bowieとか・・・。
グラム・ロックと一言で言っても、音楽性のジャンルというよりも中性的なファッションや振る舞いとか、ステージングとかで括られた感じ。
音楽性で無理くり共通項を言えば、ノリの良いビートやキャッチーなサウンドを奏でていたりすることが多いが・・・・・・。しかし、楽曲やサウンドも多種多様であった。
ロックバンドでファンになるには、見た目も重要な私にとっては、グラムロックと呼ばれるバンドやアーティストも好きになる要素は多かったのだった!!!
話を史上最高のB級ロックンロールバンド!?の MOTT THE HOOPLE の「GREATEST HITS」に話を戻すと・・
高校1年生の時に中古レコード店を回っていた時に、MOTT THE HOOPLE「GREATEST HITS」を発見し、手に入れました!
もともと1976年発売のベストアルバムでしたので、耳への刺激的には80年代のHR/HMと比べてしまえば、サウンド的な刺激はありません。
購入してから、、、数回聴いた後は、、あまり聴かなくなったのも憶えています。
楽曲自体は最高に良かったんですけどね。どうしても刺激が欲しくて。。。
その後、1987年にはCD化され、CDで買いなおししたのが、今、手元にあるCDアルバムです。CD発売された頃には、HR/HM熱も少し落ち着いていた時期だったこともあってか、良く聴いていましたね。やっぱり、このアルバム最高にイイじゃん!!! とか思いながら・・。
楽曲、ボーカルの声質などはとても魅力的で・・・。明るさの中にある悲哀というか・・・なぜか聴き終わると感動している。 すべては「SATURDAY GIGS(モット・ザ・フープル 物語)」という楽曲のせいです。
そして、社会人になっても、史上最高のB級ロックンロールバンドの面影を求めて・・・・彼らのアルバム、解散後の各メンバーのバンドやソロ作品を収集しました。
輸入盤専門店や大型CDショップなどを巡り、探したものです。。。ほとんど、輸入盤CDを購入しましたね。なぜって? 国内盤を探してもお店になかったから。
でもね、初期の頃の作品は・・・正直あまり好きではない。。。
どうしても1972年以降の印象が強すぎますョ!!!
更に、社会人になってからの知り合った方々で、MOTT THE HOOPLEのファンという方にまだあったことがありません。。。。なぜだろう・・・!?
MOTT THE HOOPLE 商品関連
MOTT THE HOOPLE のアルバム関連
MOTT のアルバム関連
BRITISH LIONS のアルバム関連
IAN HUNTER ソロ関連
今回は、MOTT THE HOOPLE『GREATEST HITS』(1976年)アルバム・レビュー(邦題:「黄金の軌跡(モット・ザ・フープル物語)」)でした!
またねーーー。
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