THE YELLOW MONKEYの3rdアルバムは『JAGUAR HARD PAIN 』というタイトルでしたが…今回は邦題そのまま「ジャガーハードペイン」でした…。でもね、このアルバムはTHE YELLOW MONKEY 初のコンセプトアルバムだったのです…。
THE YELLOW MONKEY『JAGUAR HARD PAIN』(1993年)
こんな方におススメ
- 独特なテーマと独特な言葉選びの歌詞を堪能したい方
- コンセプトアルバムを作るロックバンドに興味がある方
- 吉井和哉さんが坊主頭にしてまでも演じたかったJAGUARに興味がある方
- チャートを意識したアプローチ前のイエモン初期作品を聴きたい方
- 長髪系、国内ロックバンドの流行に敏感だった人
3rdアルバム『JAGUAR HARD PAIN』について
1st、2ndアルバムと比べるとロック色が少し強くなっていると感じる3rdアルバム「JAGUAR HARD PAIN」はコンセプトアルバムとして発表されています。
2ndアルバム『EXPERIENCE MOVIE(未公開のエクスペリエンス・ムービー)』のジャケットに登場したMARY(マリー)の恋人、JAGUAR(ジャガー)が主人公の物語。
その JAGUAR(ジャガー)は魂だけが時を50年もタイムスリップした軍人で恋人MARY(マリー)を探すという設定なんだと。
以下、当時のアルバムライナーノーツより引用
ジャガーとは1944年、異国の戦地にて戦死した若者の名前です。彼はとても野生的な瞳をしていて、性格も凶暴で女にだらしが無く、我儘でとてもナルシストで楽天家で、それでいて泣き虫でおセンチで少しだけ純粋で・・・と、正に僕たちの考える”人間の本来の姿”の象徴でもあるのです。そしてこのジャガーとは、あなたのまわりに確実に存在する”肉体は死んでも魂だけは永遠にいきている”人達の象徴でもあるのです。このお話はジャガーが死ぬ瞬間に祖国に残してきた、恋人”マリー”の魂を見てしまったために肉体が滅んだ事にも気付かず、魂だけが時を超え50年後の現在へタイムスリップしてしまい、時代のズレを感じながら恋人マリーを捜すというストーリーで、永遠に死なない人間の魂がテーマです。このアルバムがあなたのアルバムと供に大切なものになると同時に、あなたの魂に永遠に刻まれることを祈って。
THE YELLOW MONKEY
引用元:3rdアルバム「JAGUAR HARD PAIN」ライナーノーツより
JAGUAR(ジャガー)とは1944年に戦死した若者のことであり、肉体は死んでも魂だけは永遠に生きている人間の象徴であるとの事。
また、ジャケットにはそのことを断片的に表す「1944-1994」の文字が入れられている。
1944年から1994年へのタイムスリップだから、ジャケットに記載されているアルバムタイトル『jaguar hard pain』の下に”1944-1994”って記載があるのがわかった。
さらに、写真のエメラルドは、前作『EXPERIENCE MOVIE/未公開のエクスペリエンス・ムービー』でMARY(マリー)に扮した吉井和哉さんが付けていた指輪がモチーフとなっています。
吉井和哉さんは、本作をデヴィッド・ボウイのアルバム『ジギー・スターダスト』に影響されて作っており、「俺らなりのジギー・スターダスト」と語っていました。
JAGUAR(ジャガー)という名前は、あがた森魚さんのアルバム『バンドネオンの豹(ジャガー)』から付けられたそうです。
さらに吉井和哉さんはライブでもJAGUAR(ジャガー)になりきるため、この時期に髪を坊主にしていました…。
3rdアルバム時のTHE YELLOW MONKEYメンバー
Vo:KAZUYA “LOVIN” YOSHII(吉井”ロビン”和哉)
G:HIDEAKI “EMMA” KIKUCHI(菊地”エマ”英昭)
B:YOUICHI “HEESEY” HIROSE(広瀬”ヒーセ”洋一)
Ds:EIJI “ANNIE” KIKUCHI(菊地”アニー”英二)
ゲストミュージシャンとして
Morgan Fisher(モーガン・フィッシャー)がPianoを弾いています。
※8曲目と12曲目
私も好きなMOTT THE HOOPLEのメンバーにもなった人物で、日本でも数多くのCM音楽を手掛けていました。
アルバムに対する個人的見解
私にとって、大切なアルバムになりました!
まぁ、コンセプトアルバムの設定を理解してもしなくても、このアルバムはカッコイイんだけどね。
ただ、設定を理解すると2ndアルバム『EXPERIENCE MOVIE/未公開のエクスペリエンス・ムービー』に収録されている「シルクスカーフに帽子のマダム」の冒頭 ♪ジャガーはライフルであの世行き♪ が伏線だったこともわかる。
なかなかの演出である。
さらにこのアルバムの1曲目「SECOND CRY」ではラスト付近「シルクスカーフに帽子のマダム」のフレーズがのってきたり。。。と楽しい演出もある。
コンセプトアルバムですが、これまでの独特なTHE YELLOW MONKEYの世界観は3rdアルバムでも健在です。
日本語で歌う洋楽のようなロック+演劇的な感じと表現させてもらいますが、この点は健在というか、むしろ強化された感じです。
サウンド面では、ロックテイストとPOPテイストの振り分けをしっかり行っているように感じるし、聴き応えはロックアルバムとしてGood!!カッコいい!!
このアルバムくらいから、地下室とか屋根裏とかのイメージよりも屋外のイメージ(路地裏とか…)を感じます。
JAGUAR(ジャガー)がMARY(マリー)を捜す1年である1994年。
このアルバムツアーでコンサート動員数も増えていきます。
そして1995年に向けて、やっておかなければならないコンセプトアルバムだった。
視聴コーナー
TOMOZY のアルバム評価
収録曲へのコメント
01. SECOND CRY
切ないギターのイントロから始まる物語。ジャガーが異国の地にたどり着いたところから始まる。メロディアスな展開、そして鳥肌モノのサビ…。ラスト付近では「シルクスカーフに帽子のマダム」のフレーズがのってきたり。。。
アルバムへの期待が膨らむオープニングは、2ndよりも凄まじい迫力を持っている。
02. FINE FINE FINE
ハードなロックナンバー。地を這うようなベースサウンドもカッコイイ。
でもメロディは聴きやすい。ギターソロもいつもよりもハードに!
03. A HEN な飴玉
妖しい雰囲気を出すナンバー。際どい歌詞も健在。
04. ROCK STAR
イントロから身体を持ってかれます!このイントロを聴くとライブを見たくなります。カッコイイ曲。サビのメロディも決まっています!
今では”死んだら新聞に載るロックスター”に本当になっちゃいましたね。
05. 薔薇娼婦麗奈
何気にこういう曲は好きだったりします。間奏も十分聴き応えがあります!
06. 街の灯
少し2ndアルバムの匂いを感じながら…フランス語も飛び出す!雰囲気たっぷりの楽曲。こういうのを演っても様になるのは、さすがです。
07. RED LIGHT
冒頭、悲し気な雰囲気の女性ボーカルが入る。そして静かになった後、ハードなギターが入るロックナンバー。歌詞はやはり攻めてます!
08. セルリアの丘
ハードな雰囲気から一転して静かにボーカルが入る。綺麗なメロディの楽曲。
メロディアスな世界を堪能できます・・・。
09. 悲しきASIAN BOY
ライブでもお馴染みのロックナンバーで、3rdシングルでもあります。
どうしてもライブでおなじみの”暁に…”の冒頭セリフが欲しくなってしまいます。
大きな会場で、ファンが腕を胸から斜め上に動かしてできる大きな波や紙吹雪やイエモンの電光が、脳内映像で再現されてしまう…。イエモン知っててライブ行った人とカラオケすると盛り上がる楽曲。
10. 赤裸々GO!GO!GO!
ノリの良い煽り曲!ギターソロもノリノリです。ギターソロ後、すこしゆったりとリズムを落としますが、その後はまた煽ります!
11. 遥かな世界
ミドルテンポのイエモンらしいメロディの楽曲。
もう痛くない…と モウイタクナイ=もう居たくない…の両方なのでしょうか?
結構奥が深く、ラストへの伏線的なものも感じます。
聴きこむ毎に、イイ曲だったね、と思うようになっていきます。不思議ですね。
12. MERRY X’MAS
なんとも切ない 激情型ラブソング!?。アルバムラストを飾るにふさわしい壮大な旅の終わり。
切なくも、なぜか勇気づけられるような楽曲である。当時はよくヘッドフォンで聴きましたね。。。
ラストの♪ 君は一人じゃない ♪は心に刺さります! そして…しばし茫然。
クリスマスソング…。
久しぶりのTHE YELLOW MONKEY『JAGUAR HARD PAIN』でしたが、ロックアルバムとして、今でもカッコいいと感じます…。このコンセプトアルバムは吉井和哉さん曰く”男性受けを狙った”と語っていましたが、吉井和哉さんの思惑通り…私は完全にノックアウトされました…。大好きなアルバムです。
映像で楽しむ 『JAGUAR HARD PAIN』 関連
このアルバム『JAGUAR HARD PAIN』に収録されている楽曲は、THE YELLOW MONKEYのLIVEで現在も演奏される名曲があるので、最近のLIVE映像などもご紹介します。
アルバム『JAGUAR HARD PAIN』シングルカット曲(3rdシングル)
この3rdアルバム『JAGUAR HARD PAIN』からのシングルは1曲でしたねぇ~。
ライブの定番曲として有名な「悲しきASIAN BOY」…ライブ会場を紙吹雪でいっぱいに‼
THE YELLOW MONKEY – 悲しきASIAN BOY
アルバム『JAGUAR HARD PAIN』収録曲LIVE映像
時は経ち…すでに大御所的なロックバンドとなったTHE YELLOW MONKEYの2019年のライブ映像を楽しみましょう。
【LIVE】悲しきASIAN BOY -Nagoya Dome, 2019.12.28-
この曲、やはりライブが似合います!吉井和哉さんの冒頭セリフも然り、、、THE YELLOW MONKEY の電飾然り…紙吹雪…。ラスト付近のセリフ「貴様と俺とは同期の桜…。」 最後は吉井和哉さんの「No.1 ロックンロールバンド! THE YELLOW…」、、、そして客席からMONKEYの声が…。
あとがき
JAGUAR(ジャガー)とMARY(マリー)は同一人物!?
楽曲「MERRY X’MAS」でラストを迎える…MARY(マリー)とJAGUAR(ジャガー)の物語。
実はこの話にはとんでもない真実が隠されていました…。
♪魂は死ぬことなく 君は悲しむ事なく
真っ白な雪の夜にまじかに君がいる喜びに♪
… … … …
♪確かに君がいる喜びに…♪
… … … …
そしてラストは……
♪雪は変わらない! 永遠に変わらない! ♪君は一人じゃない! 君は一人じゃない!※MERRY X’MAS 歌詞カードより一部引用
上記のように、壮大な物語は永遠の愛を誓うかの如く感動的にフィナーレを迎えます。
しかし…。
この物語は一筋縄で終わらなかったところが THE YELLOW MONKEY というか吉井和哉さんなんだろう。
実はJAGUAR(ジャガー)は女装趣味があり…。
女装した時のJAGUAR(ジャガー)がMARY(マリー)だった…。
鏡に映る女装した自分とランデブー…。
JAGUAR(ジャガー)は本当の自分を取り戻したラストだったということ…。
楽曲「MERRY X’MAS」の途中に出てくる歌詞
♪部屋の真ん中に鏡を置いて君と二人で紅を引くのさぁ~♪
もろ、鏡に映った君≒女装したJAGUAR(ジャガー)自分自身であり=MARY(マリー)なのです。
JAGUAR(ジャガー)になりきった1994年でしたが、最後の最後でネタ晴らしをした吉井和哉さん…凄い。
ちなみにビデオ『life Time・SCREEN 〜追憶の銀幕〜』では楽曲「4000粒の恋の唄」と「シルクスカーフに帽子のマダム」で、黒い涙化粧と黒いドレス姿の吉井和哉さんが見られます。
ということで、JAGUAR(ジャガー)に扮する前の吉井和哉さんが、JAGUAR(ジャガー)が扮するMARY(マリー)に扮していたといったところだろうか…。
楽曲「MERRY X’MAS」が演奏されたLIVE
JAGUAR HARD PAIN FINAL TOUR’94″I Shall Return!”
- 1994/12/23 (金) サンケイホールブリーゼ (大阪府)
- 1994/12/24 (土) 愛知県勤労会館 鶴舞ホール (愛知県)
- 1994/12/27 (火) 中野サンプラザ ホール (東京都)
メカラ ウロコ・9
- 1998/12/28 (月) 日本武道館 (東京都)
ビデオ『life Time・SCREEN 〜追憶の銀幕〜』 1993年6月19日の日本青年館LIVE
THE YELLOW MONKEY 初のライブビデオ(1993年9月1日リリース)でした。
1993年に発売されたVHS(2000年DVD化)に収録された曲は全11曲でしたね。
1993年6月19日日本青年館での演奏曲は以下の通り
01.MORALITY SLAVE
02.DRASTIC HOLIDAY
03.LOVE IS ZOOPHILIA ※VHS/DVD未収録
04.Chelsea Girl ※VHS/DVD未収録
05.FAILY LAND ※VHS/DVD未収録
06.Subjective Late Show ※VHS/DVD未収録
07.DONNA
08.仮面劇
09.VERMILION HANDS ※VHS/DVD未収録
10.This Is For You
11.審美眼ブギ
12.Foxy Blue Love
13.SLEEPLESS IMAGINATION ※VHS/DVD未収録
14.フリージアの少年 ※VHS/DVD未収録
15.SUCK OF LIFE ※VHS/DVD未収録
16.アバンギャルドで行こうよ
以下、アンコール
01.WELCOME TO MY DOGHOUSE ※VHS/DVD未収録
02.Romantist Taste
03.4000粒の恋の唄
04.シルクスカーフに帽子のマダム
ビデオ『JAGUAR HARD PAIN LIVE’94』
1994年に行われたコンサートツアー『Jaguar hard pain Live’94』の最終日1994年3月30日、中野サンプラザホールでのライブ映像作品です。
1999年に発売されたVHS(2000年DVD化)に収録された曲は全18曲でしたね。
後日、この映像についての説明で、”1994年、伝説のJAGUAR HARD PAIN TOURはその幕を開けた。壮大なドラマに取り憑かれた情念のシアトリカル・ステージが遂に蘇る!”という記載があるのだが、、、。
出来れば、すべて演奏曲を収録してほしかったねぇ~。
既に幻のようになった、オープニングでの黒いスーツに赤い羽根飾りのアイマスクを着けた男…。
1曲終わった後にステージに崩れ落ちてしまう演出(吉井和哉さんの偽物!?)…もシアトリカルなステージの演出だったはずなのに、、、。
1994年3月30日中野サンプラザホールでの演奏曲は以下の通り
00.DUST TO DUST(オープニング)※VHS/DVD未収録
01.SECOND CRY
02.FINE FINE FINE
03.A HENな飴玉
04.ROCK STAR
05.DONNA
06.薔薇娼婦麗奈
07.VERMILION HANDS
08.RED LIGHT
09.セルリアの丘
10.街の灯
11.審美眼ブギ
12.赤裸々GO! GO! GO!
13.嘆くなり我が夜のFantasy
14遥かな世界
15.SUCK OF LIFE ※VHS/DVD未収録
16.悲しきASIAN BOY
17.アバンギャルドで行こうよ
18.ROMANTIST TASTE
19.WELCOME TO MY DOGHOUSE
個人的には、1994年の12月27日の中野サンプラザホールでのライブ映像が見たい!
『JAGUAR HARD PAIN FINAL TOUR’94 “I Shall Return!”』の最終日映像の事です。
もちろん、アンコールの「MERRY X’MAS」迄を…。本当のラストを観たい!
TOMOZY(トモジー)のアルバムにまつわる個人的な想い出
THE YELLOW MONKEY というバンドをこれほどまで好きになるとは思ってもみなかった。この3rdアルバムを聴いて、そう思った。実のところ、既に虜になっていたのかもしれないが・・・・。
そして、インディーズ時代の『Bunched Birth』からこの3rdアルバム『JAGUAR HARD PAIN』までの4枚で 私のTHE YELLOW MONKEY の第一章が終焉を迎える。
それは、その後の自身の生活とも関連するかの如く・・・。
私自身、1994年の夏に株式会社と付く会社に就職することになる。
それはある種の転機となり、考えていた以上に前向きな日々を送ることにもなった。
それまでやさぐれていたことが嘘のように・・・。
そして1995年に突入し、
私の中での会社員時代の第一章とTHE YELLOW MONKEYの個人的な第二章が始まるのであった。
なぜか THE YELLOW MONKEYがその後ビックアーティストになっていくことが自分の事のようにうれしく思っていたことも事実である。その後、活動休止になるまで…。<続く>
もう少し、初期の頃の THE YELLOW MONKEYを知りたい方は、以下の記事もあわせて読んでみてほしい。
2ndアルバム『EXPERIENCE MOVIE/未公開のエクスペリエンス・ムービー』 も気になった方は 以下もあわせて読んでみよう。
THE YELLOW MONKEY 商品関連
再集結後のアルバム
ライブ盤
ベスト盤・シングルコレクション
今回は、THE YELLOW MONKEY『JAGUAR HARD PAIN』(1994年)アルバム・レビューでした!
またねーーー。
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